どんな猛気も法の壁は崩せない
Aさんには,姉 人,兄1人(B)がいます。
父が亡くなった後,Bは,①遺言書があったのにAさんが隠したから,相続人の排除を主張,②Aさんの預貯金は,亡父の預金を勝手に横領したので,全て返せ,③母や姉がAさんに譲渡した相続分はAさんの脅迫の結果だから無効だと主張して,Bは調停,訴訟を乱発しました。
しかし,結果は,Bの主張は,裁判所による法の壁の前で全て否定されました。
この場合,Bは,ア長男が遺産の全てを貰うべきだとの信念(?)を主張(相続人は平等という法への挑戦),イ父の手帳のメモが証拠だ(遺言方式への挑戦),ウ自分の主張という主観が,いつしか客観的なものと錯覚しており,裁判所を説得できると信じ込んだ(証拠裁判主義への挑戦),エBは弁護士に一切相談せず,自分の頭の中だけで,しかも自分に有利な主張をして,裁判所という解決のための土俵ルール,背を向けたピエロでした。
Bは,結局, 大な時間と労力を尽くしましたが,法の壁の前にはね返され,1人の 相続分を得るにとどまりました。Aさんの相続人は平等という正しい信念が猛気に勝ったのでした。
Bさんは,もちろん弁護士と二人三脚で頑張りました。
この事例は,他にも,「父が私に全部やる」と言ったのが,最後の意思,即ち遺言だとか,「父のメモだ,ここに全てやる」と書いてあり,やる対象は自分だ」(遺言方式の法定への挑戦)との主張が,大声の長兄や長女の夫からしばしば出されますが,全て法の前では否定されます。