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交通事故 特集(最近の交通事故被害の事情)

昨今,高齢者ドライバーの「踏み間違い」(アクセルとブレーキの誤操作)が,たびたび報道されていますが,それは氷山の一角で数千件とも言われています。
茨城県は,平成24年の交通死者数140人で全国平均94人を大きく上回っています。また,県内の平成27年統計では,免許取得者は205万人前後,事故発生件数1万1千件と負傷者数1万5千人は,10年間でほぼ半減しています。
交通事故の件数,負傷者数の減少は,シートベルトの普及,交通施設の改良と運転者のマナー向上等があると思います。
しかし,交通被害で悩む人は多いのが実態です。

医療費の一方的打ち切りにどう対処するか

事故の怪我が軽微な場合は,不幸中の幸いです。他方,後遺障害が残るような大きい怪我をした場合に,治らないのが後遺症ですから,必要な通院期間がどうしても長引きます。
医者が治療の必要性を認め,ご本人も治療を継続を望んでいるのに,保険会社,また,同じ保険会社でも担当者によっては,早い段階から打ち切りを宣告することがあります。
保険会社の担当者に言われるがままに,「仕方ない」と通院を我慢させられ,その結果,本来,後遺障害等級が認定されてしかるべき受傷なのに,通院回数・通院期間が足りず,軽微な受傷との推認のまま,自賠責に後遺傷害が認定されない事態が,数多く見受けられます。そうなると,後遺障害慰謝料も逸失利益も認められませんので,適正な賠償を得ることが難しくなります。
弁護士が受任している場合は,まず第一に,治療の継続を保険会社に主張します。それでも保険会社が頑なに認めないケースがあります。そのようなとき,症状がひどい場合には,主治医の意見もきいた上で,いったんは自費(健保)で通院し,後遺障害が認定された場合には,弁護士から保険会社に対し,未払い治療費として請求をかけます。
弁護士として,過剰診療,濃密診療を推奨することは致しませんが,本当に状態が悪いのに,打ち切り宣告を受けたら,弁護士に相談されることをお勧めします。

痛みやしびれがあるのに,後遺障害には該当しないと言われたら

交通事故の後遺障害には1級から14級まであり,認定例でもっとも件数が多いのが,頚椎や腰椎の捻挫による「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)です。いわゆるむち打ちは,これに当たります。
事故によるものとして,症状が医学的に証明されれば12級13号に該当し,証明まではできないものの説明ができる場合には14級9号が認定されます。症状の説明がうまくできないと認定されると,症状はあっても非該当になります。
非該当の結果に不服があれば,自賠責に対して異議を申し立てることができます。本来は,被害者自身が申し立てる制度なのですが,「具体的には何をどうして良いのか」の段階であきらめてしまう方が多数と思われます。
その場合には,行政書士・司法書士の先生でも交通事故に関与されている方がいらっしゃいますが,弁護士に依頼することをお勧めします。異議で後遺障害等級認められても,それに応じた賠償額を保険会社が認めないことがあります。弁護士は,その後の保険会社との交渉(法律により弁護士だけができます),訴訟(当然,弁護士しかできません)を見据えて,異議申立を行います。

自営業者の休業損害はどう計算するのか

サラリーマンの方であれば,会社の発行する定型的な「休業損害証明書」に基づく休業損害額を,保険会社が容易に認める傾向があります(なお,休業損害とは「現実の収入減」を意味しますので,それが,保険会社認容の休業損害額よりも大きい場合は,弁護士が差額を請求します。)。
これに対し,自営業者の方の場合は,休業損害証明書が出せないので,保険会社と途端に争いになります。極端なケースでは,無職として休業損害をまったく認めてこない場合さえあります。
そこで,まずは,弁護士が「現実の収入減」を被害者である依頼者から聴き取り,それを立証する材料を,一緒になって考えることになります。
確定申告額等は一つの目安にはなるのですが,適法な節税対策を行っている場合に,実際との差が大きくなりますので,あきらめずに,一緒に考えていく作業が必要です。

高次脳機能障害とは知らずに苦しむ人もいます

交通事故を原因として,脳に損傷を受け,

  1. 意思疎通能力(記銘・記憶力,認知力,言語力等)
  2. 問題解決能力(理解力,判断力等)
  3. 作業負荷に対する持続力,持久力(一般的な就労時間に対処できるだけの能力)
  4. 社会行動能力(協調性等)

のいずれかないし複数が失われる状態を高次脳機能障害といいます。
脳は身体全体を司る最重要器官ですので,脳に損傷を受けると様々な症状が現れます。例えば,性格が変化し怒りやすくなった(易怒性),目は正常なので見えているのに脳の処理ができず認識できない(半側空間無視),あるいは特定の匂いを感じないなどのケースの方がおられました。
医者が作成する資料だけでなく,被害者の身近な家族が作成する「日常生活状況報告書」を参考に高次脳機能障害が認定されます。
また,高次脳機能障害の認定において,初期の意識障害レベルが重視されるのですが,書面の正確性よりも命が優先される救命救急活動の中では,医者による単純誤記もないわけではないので,弁護士から被害者の家族に聴き取りを行い,医療記録との照らし合わせ,点検作業をすることは不可欠です。
他の後遺障害認定のプロセスとは異なる書類を準備し,医者の作成する記録だけでなく,「素人」である家族の判断も認定要素になりますので,適正な後遺障害等級認定を受けるには,一定程度の専門知識を有する弁護士の助力が必要です。
なお,高次脳機能障害に関しては,全体の交通事故の中でも,特に重症事案だけですので,件数が多いとは言えず,弁護士と言うだけでは専門知識を必ずしも有しているとは言えないのが実情です。

 

弁護士法人茨城の大地では,事務所全体としての経験の蓄積も,所属弁護士の経験事例も豊富にありますので,ご相談いただければと存じます。

脳脊髄液減少症とは?

交通事故によることが多いが,運動や転倒などでも起こります。診断ガイドによると「脳脊髄液腔から脳脊髄液(髄液)が持続的ないし断続的に漏出することによって脳脊髄液が減少し,頭痛,頚部痛,めまい,耳鳴,視機能障害,倦怠など様々な症状を呈する疾患である。」(脳脊髄液減少症ガイドライン2007)。
強烈な自覚症状を伴うのに,症状が様々であることから,保険会社からは,むち打ち症として14級9号とされたり,長期症状が続くので(現在は,健康保険の対象となっています。),治療費を打ち切られ,周囲からは詐病扱いされ,二重三重の苦しみを受ける方がおられます。
現在は,治療をする医師も増えていますが,事故直後からの頭痛,特に起立性のものが特徴ですので,無理解な医師は断ることです。
また,保険会社の対応も良好ではないので,早めに弁護士に相談することを勧めます。