コラムCOLUMN

  1. トップ
  2. コラム
  3. あけてびっくり玉手箱

あけてびっくり玉手箱

 Aさんには姉が2人います。父が亡くなった後,独り暮らしの母のところに,姉の1人であるB子が「面倒をみる」と言って,頻繁に出入りしていました。

 その母も亡くなり,Aさんには両親の相続を考えて,2人の姉に話を持ちかけました。

 農家だった父の遺産は,自宅と農地でしたが,生前母に全て贈与したと言っていたので,母の面倒をみていたB子に預貯金をたずねると,明かしません。

 Aさんは仕方なく,父が農家だったのでJAの預金,近くの郵便局の貯金,地域に1つしかない銀行の預金を調べました。冒頭の「あけてびっくり」,いずれの預貯金も残高はほとんど0円でした。B子さんは「母に頼まれておろした」と言うものの,亡くなるまでの5年間に母にはそんな大金をおろす必要もなく,高価な買い物もしていません。

 Aさんは,B子さんに遺産の3分の1を求めましたが,母名義のものはないに等しく,B子さんは母から頼まれておろしたお金の使い道には口をつぐんでいます。

 父も母も遺言書を残していなかったので,法定相続での相続になります。相続人はAさんとB子さんともう1人の姉の3人ですから,Aさんの法定相続分3分の1です。依頼された弁護士がこれを現実的に取得する方法は,

 ①預貯金のおろし方の特徴をつかむ(例えば,ATMからの払戻しや期間)

 ②母の遺産の増加の有無

 ③B子さんの資産の増加

 を調べる等をまずします。その上で追及の法的手段を考えます。あまりに悪質なケース(父母が浮かばれないような場合)では,横領として刑事告訴をしたり,民事では話合いによる調停も期待できない時は,不法行為による損害賠償請求を検討します。どのような選択が解決に近いのかは、Aさんと弁護士が密接に協議をして考えます。

「天は自ら助くる者を助く」のことわざもありますが,権利を実現するためには,びっくりして終わりとするのではなく,弁護士と一緒になって頑張る! という姿勢が重要です。